Y 国際交流事業
  
■ 実施に至る経緯
 前田市民センターがある八幡東区の前田地域は九州国際大学をはじめ、国際協力機構九州国際センターや市の国際村交流センターなど市の国際交流ゾーンとしての整備が進み、 さまざまな国から多くの留学生、研修生が訪れ、学んでいる地域です。多くの外国人が暮らしている前田地域では言葉や文化の違いなどから思わぬトラブルが起こります。 身近な問題として、収集日以外にごみを出しているのは留学生ではないかという苦情が寄せられました。 それをきっかけに、大学と地域、市民センターとで話し合いをしたところ、次のような意見があがりました。
 その結果、同年代の日本の青年と留学生の交流を深めることを目的に、 平成15年度の講座のひとつとして「食」を切り口にした青年教室として開催したところ、料理実習、日本語会話の練習、 文化の紹介と好評のうちに終わることができました。
 終了後、今後の取組みについてまちづくり協議会からの支援を受けることになり、平成16年度以降、 「クッキング講座」と名称を変え、自主企画として継続実施しています。
■ プログラム作成の視点
 当事業は、互いの文化、風習の違いを認めあい、地域住民やボランティアとの交流のきっかけづくりを目的にしています。また、留学生の多くが寮生活であることから、 作った料理を食べるだけではなく、片付け、特にごみの出し方、 食用油の処理の仕方など実生活に即した暮らしの知恵を伝授して、地域の一員として早く日本の生活に慣れ、自炊ができるように支援する内容になっています。
■ 事業の内容
 特別に講師を要請するのではなく、地域のクラブで出入りしている方、料理の好きな方、 国際交流に関心のある方たちにボランティア講師として関わってもらいました。そのため、 買い物から、下準備、当日の指導まできめ細やかな指導が実現しました。
 留学生は、回を重ねるごとに手際が良くなり、包丁使いも上手になりました。 参加者が一番の楽しみにしていたのが、会食でした。会食のときには、できるだけ多くの人と話ができるように、席をまわって言葉を交わしました。
 片付けも、講座の内容の一つとして取り組みました。
■ 事業の成果
○ 食から拡がる異文化体験
 クッキング講座に参加していた留学生が地域の祭りやもちつき大会等に積極的に参加するようになりました。
 留学生にとって、食から始まった交流事業が地域事業に参加することで、 多くの人と出会い、日本の文化にふれ貴重な体験を通した相互交流となっていると実感しています。
○ ボランティアの底力
 ボランティアの皆さんやまちづくり協議会など地域の支えがあればこそ実現できた事業です。ボランティアの皆さんの感想を紹介します。
 この事業を実践して、地域、大学、センターの連携の下、積み重ね継続してきた実践がお互いの共通理解を深めることができると確信しました。 また、お互いに体験することで自分を振り返り、新しい発見があることも学びました。 これからも、異文化体験をもっと楽しんで行い、交流の輪をさらに広げるためにセンターとしても支援をしていきたいと考えています。
■ 今後の課題
課題は、「プログラムの工夫」と「ボランテイアの広がり」だと考えています。  留学生の授業時間等で制約があるため、どうしてもセンター主導になりがちなプログラムを、 今後は留学生の学びを地域に還元できるような機会・場の提供や、もっと留学生が主体的に関われるような内容に工夫し、 さらに交流が発展し、事業として継続できるようにしたいと考えています。
 また、センター事業全般に言えることですが、参加者の高齢化、固定化が進んでいる中、ボランティアも同様な課題を抱えています。 今まで以上にセンターのクラブ関係者や地域団体、子どもや高齢者を含めた地域の異年齢の人たちと留学生との出会いの場をつくり交流を深め、出会いの楽しさやボランティア活動の意義・ 素晴らしさなどが感じられる事業の企画を考えていく必要があると思います。その結果、仲間や応援団が増え、ボランティア増につながればと思います。
 今後も、市民センターが「地域との交流のパイプ役」となれるよう、橋渡しをしていきたいと思います。

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