XII 自治公民館活動
2 ホタルに魅せられて〜住民による地域つくり〜

1    苅田町の紹介
   京都郡苅田町は北九州市と行橋市との間に位置する人口約35,000人、世帯数約14,500世帯、面積約46.5平方キロの町で、東は周防灘に面し、西は平尾台のカルスト台地に連なっております。
   日本有数な大企業が多く立地した企業の町として、また最近は、新北九州空港の開港、東九州自動車道の開通、港湾整備等、陸海空の交通の要衝としても発展しようとしております。
   その一方、苅田町は文化と歴史あふれる町でもあります。
    国指定の石塚山古墳や御所山古墳をはじめとした古墳群。また、山伏の祭典である「等覚寺の松会」は国の重要無形民俗文化財に指定されております。
   更には、560年続く神幸祭は全国的にも珍しく山車が3度姿を変え、フィナーレには、14基の山車が一斉に勢ぞろいし、勇壮・華麗さを競います。
 
2    集区の紹介
   このように近代産業と文化、歴史が見事に調和する環境にある苅田町の末端行政を担っているのが、町内に47ある地域住民の自治組織である行政区です。
   この行政区には、各々の区が維持管理する区有の自治公民館いわゆる集会所があり、この施設を核として様々な事業を展開しております。
   それでは、その行政区の1つ集区について紹介させていただきます。
   集区は、苅田町の中心部に位置し、人口1,300人、世帯数505世帯、面積36ha。高齢化率は、町の19.6%よりも低く16.4%となっております。
   さて、この集区においては、区民が安全安心な地域的共同生活を営むための一般行政等に関する様々な実践活動を行っております。
   諸事業の実践活動の推進については7団体(農業会、老人クラブ、婦人会、小地域福祉活動推進委員会、育成会、一心会、自主防災会)が携わっており、これらの団体の連携、そして21の隣組組織の総意に基づき区活動の運営を行っております。
   その中で今回は、小地域福祉活動と敬老福祉事業(敬老福祉まつり)に焦点を絞り紹介いたします。
 
3    小地域福祉活動「いきいきサロン」事業の実施について
   小地域福祉活動については、平成9年2月に集区小地域福祉活動推進委員会を設置いたしました。
   当面の事業活動は、友愛訪問、ゲーム、食事会等を行う「老人の集い」が主活動でした。
   その後、町社会福祉協議会の「ふれあいいきいきサロン」事業推進に伴い、当集区においても、早速、小地域福祉活動推進事業の中に取り込み、平成12年7月を第1回集区小地域福祉活動「ふれあいいきいきサロン」事業として開始いたしました。今日まで毎月1回実施しており先月まで実に91回を数えるに至っております。
   その内容は、茶話会型、食事会型、イベント型の3つに大別されており、茶話会・食事会等は総て役員による手作り料理であって、参加されている高齢者から大変な好評をいただいております。
   特に誕生月の方には、役員のアイデアによりその月に相応しい品のプレゼントがあって非常に喜ばれています。
   しかし課題もあります。それは参加者の顔ぶれが毎回殆んど変わらないということです。いま一つは参加者が若干少数であることです。因みに該当者65歳以上198名中、月平均38名(19%)の参加者となっております。
 
4    敬老福祉まつり事業の実施について
   このような状況の中、平成14年2月、区の予算見積会議において福祉事業推進について提案がなされました。区内で各部会が同一目的で事業を実施しているが、合同で行えばより多くの効果を得られるのではないかとの意見でした。
   早速、各部会長に趣旨説明を行い同意を得るに至り、次のように基本構想の要綱がまとまりました。
   基本構想
@ 福祉施策に関するもので高齢者を対象とすること(70歳以上)
A 次代を担う児童たちが参加できる事業であること
B 区民が容易に参加できる事業であること
C 将来にわたって継続できる事業であること
D 最小の経費で最大の効果がもてる事業が望ましい
   以上の基本事項を勘案し、種々検討の結果、名称を「敬老福祉まつり」(敬老の日・福祉の日)とすることになりました。
   基本目的
 ・ 敬老者に対して心から感謝と敬老の誠を捧げる
 ・ 敬老者と子どもたちの心豊かなふれあいの絆を深める「場」を設ける。
   具体的な事業内容は、芸能大会とふれあい餅つき大会とすることに決め会期を2日間としました。
○ 第1日目 敬老者と子どものふれあい餅つき大会
   敬老者と子どもが交互に餅をつくことによって和やかなうちに心豊かな絆が結ばれる。ついた餅は芸能大会において、敬老者と観賞者に祝い餅として配付する。
○ 第2日目 区民による芸能大会
   区民各位が日頃習得している歌、舞踊、演劇、コーラス等を披露することを原則とする。
   これ等の運用、運営のため「実行委員会」を設置し、更に事業内容を具体的に進める方策として職務分担を置いています。
   ところで芸能大会の出演者については、広報を通じて募集を行い、ふれあい餅つき大会を平成14年12月7日、芸能大会を翌日8日に開催することになりました。
  芸能大会開催に当って、出演者が総て区内の人たちであったことにより出演者と観賞者が意気投合し大変な盛況でした。演技の上手、下手は別として、親しい区内の人たちが日頃とは全く変わった別人のように真面目で一生懸命に演技を披露し敬老者に敬老の誠を捧げることにより本当に実り有る芸能大会であったと思います。
   終演時には、敬老者の方々から「本当に楽しいひと時を過ごすことができました。今後も是非実施していただきたい」との懇願がありました。
   このようなことにより、平成14年開催の第1回の敬老福祉まつりを契機として以後毎年開催することとし、開催日を11月の第3土曜、日曜日と定め、今日ではすっかり区民に定着するに至りました。
   さて、集区における福祉活動全般にわたる総合的な見地から敬老福祉まつりを考察した場合、高齢者が一同に会して「和やかに語り合い話し合っている、そこには暖かみのある心と心が通う」ことができる。その情景はまさに明日に向う元気の源でもあるかのように感じます。そこには、孤立感を少なくしていく要素があり、人と人との結びつきを高め、自ずと共感が生まれることと思います。誠に意義深いものがあります。
 
5    行政と地域のコミュニティケアによる福祉
   当集区においては、公民館を軸にして各部会がそれぞれの分野において何らかの形で高齢化時代に対応するための福祉活動に務めさせていただいております。
   以前から一般社会でよく言われている「福祉は国や自治体がやるものだ」という認識や風潮がかなり強まっております。
   福祉のうちで、行政面が受け持つ分野は、年金、医療費などの公的扶助や福祉施設の整備などであると思います。その公的な制度や施設に血を通わせるのは地域の人々の「福祉の心」であると思います。こまかい身の回りの世話は到底国や自治体でできるものではないと思います。
   血の通う地域の方々の温かい思いやりがあってこそ始めて福祉が成り立っていくものだと思います。
   私たち役員は、集区内のふれあい、交流を更に深め、高齢者の家庭において個人や家族ができないことを地域で補う努力をし、高齢者が1日でも長く在宅で介護・医療を受けられるよう努めていく、このことがいわゆる「小さな村の努力」だと思っております。
   以上のことから、今後集区においては、私たちは急速に進む高齢化時代に対応するため、公民館を核とした実践活動に一段と務め、区民の方々から集区に来てよかった、住んでよかった、住みたくなる夢のある集区にしていく所存です。

問合せ先
〒800-0351 京都郡苅田町京町2−5
          苅田町中央公民館   TEL 093-436-0061
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