子どもと大人をつなぐ大内田岩戸神楽
赤 村

 赤村の大内田地区にある大内田研修センター(自治公民館)では毎年4月28日、350余年の歴史をもつ大内田岩戸神楽が催されます。普段は閑静なこの地区も、この日は家族連れなど多くの見物客で賑わいます。
 午後8時、見物客でいっぱいになった研修センターで神楽舞がはじまります。その中で保存会のメンバーである子どもたちが踊っています
神楽を舞う子どもたち
 大内田岩戸神楽は、明暦元年(1655年)に始まったと伝えられている神楽で、当時、大内田地区に牛馬の疫病が流行し、困り果てた人々が氏神様である大祖神社に「願」をかけ「みくじ」を引いたところ、「四月に神楽をせよ」とのおつげがありました。それ以来、四月神楽を舞うことになりました。大正時代になってから現在の形になったと云われています。
 以前は山の上にある大祖神社で行われていましたが、山のふもとに研修センターができて以来、4月28日に神社から研修センターへ神様をおろして行われています。  神楽を舞う子どもたちは現在小学生1人、中学生3人、高校生1人の計5名で、神楽がある3ヶ月前から休みを利用して、月に2、3回、大内田研修センターで練習を行っています。 岩戸神楽は高尚優雅さに加え、豪気活発な舞を特徴としています。演じる者は体力をはじめ、集中力や技量が必要とされる伝統芸能です。神楽の練習を通じて、子どもたちは体力や物事に集中する力、そして精神力を身につけていきます。
 そして、保存会の大人たちは「郷土の文化を知ることは、ふるさとを大切に思う気持ちを育てる」という郷土を想う心を育てることを特に大切にし、将来大内田岩戸神楽を担う子どもたち、そして大内田地区を守っていく子どもたちの育成に努めています。また、大人と子どもが一緒に舞うことが、自然と世代間のコミュニケーションの場にもなっているようです。
地域の文化伝統とひとのつながり
 大内田研修センターは市町にある公民館と比べて小さい建物です。しかし、大内田岩戸神楽を通じて、伝統を伝える場所、人々に感動を与える場所、家族との思い出をつなぐ場所、そして、何よりも子どもと地域の大人をつなぐ場所になっている、とても大きな役割をもった公民館です。大内田研修センターは伝統、感動、思い出、そして未来の「ひととひと」をつなぐ場所になっています。

問い合わせ先:赤村教育委員会教務課 0947-62-3003


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